話している人の声だけ聞き取りやすく|指向性機能とは

前の記事で、雑音を抑える機能には限界があるとお伝えしました。まわりの話し声は補聴器にとっても「人の声」なので、性質では区別できないからです。そこで使うのが、方向で選ぶという考え方です。
マイクを2つ使います
指向性の機能を持つ補聴器には、マイクが2つ付いています。前と後ろに少し離して置かれたマイクです。
音が前から来るか後ろから来るかで、2つのマイクに届くタイミングがわずかにずれます。このずれを手がかりに、補聴器は音の来た方向を判断できます。あとは正面から来た音を通し、後ろや横から来た音を控えめにする。これが指向性です。
人と向き合って話すとき、相手の声は正面から来ます。まわりのざわめきは四方から来ます。方向で分ければ、性質では区別できなかった声と声を分けられるわけです。

常に効いているわけではありません
正面だけを拾う状態が続くと、横から呼ばれても気づけません。ですから多くの機種は、場面に応じて指向性の効かせ方を変えています。静かな場所では周囲全体を拾い、騒がしくなると正面を優先する、という切り替えです。
この切り替えを自動で行うか、手動で切り替えるかは機種によります。自動調整については別の記事でご説明します。
価格帯で変わること
上位の機種では、正面を優先する向きをより細かく制御できたり、話している相手の位置に合わせて狭める範囲を変えたりします。左右の補聴器が無線でやり取りして、両耳を1組として動かす機種もあります。
一方、耳あな型の小さな機種では、マイクを2つ置く物理的な余裕がなく、指向性を持たない場合があります。形を優先すると機能が制限されることがあるのは、知っておいていただきたい点です。形の選び方は補聴器の選び方をご覧ください。
使うときのコツ
指向性は正面を優先する機能ですから、聞きたい相手のほうを向くことが前提になります。横に並んで座るより、斜めでも向かい合うほうが働きます。
レストランなら、騒がしい側を背にして座る。会議なら、話す人が正面に来る位置を選ぶ。機能まかせにせず、こうした座り方を少し意識していただくと、効き方がはっきり変わります。
まとめ
指向性は、マイク2つに届く音のわずかな時間差から方向を判断し、正面の音を優先する機能です。雑音を抑える機能では分けられない「声と声」を、方向で分けます。
効き方は機種によって差があり、耳あな型では搭載されないこともあります。どの場面で困っているかによって必要な範囲が変わりますので、店頭でお聞かせください。お試しレンタルで、実際の場面での効き方を確かめていただけます。
どの機能が必要かは、人によって違います
記事でご紹介した機能が、ご自身の生活に必要かどうか。ふだんどんな場面でお困りかをうかがって、認定補聴器技能者がご提案します。



