高齢の親に補聴器を考えるとき|値段・保険・つけやすさを順番に

このページは、ご本人よりもご家族が調べていることが多いページです。「親の聞こえが気になるけれど、補聴器は何から考えればいいのか」という段階の方に向けて、順番に整理します。
補聴器が必要だと感じる年齢は、中央値で70歳
日本補聴器工業会が全国で実施している調査では、補聴器が必要だと感じた年齢の中央値は70歳でした。2022年の調査では72歳でしたので、少しずつ早まっています。
ただし、必要だと感じてから実際に使い始めるまでには開きがあります。難聴に気づいてから最初の補聴器を購入するまでに6年以上かかった方が20%います。5人に1人です。
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。

いちばんの壁は「年のせいだから仕方ない」
なぜ6年もかかるのか。同じ調査で、聞こえにくい自覚があるのに耳鼻科を受診しなかった方に理由をたずねた結果が、その答えになっています。
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。n=333。

| 受診しなかった理由 | 割合 |
|---|---|
| 特に困っていなかった | 48% |
| 年齢によるものだから仕方ないと思った | 43% |
| 耳鼻科医に行っても改善しないと思った | 18% |
| 補聴器は高額で手が出ないと思った | 16% |
| 補聴器はうるさいだけと聞いている | 10% |
| 補聴器は恥ずかしい・年寄りっぽいと思った | 7% |
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。n=718、複数回答。
上位2つが「困っていない」と「年のせいだから仕方ない」です。「恥ずかしい」は7%にとどまります。ご家族はつい「恥ずかしがらなくていいよ」と声をかけがちですが、ご本人が引っかかっているのはそこではないことが多い、ということです。
声のかけ方については補聴器を嫌がる親に、どう声をかける?にまとめています。
値段はいくらくらいか
補聴器販売店で購入した方の価格は、片耳1台あたり10万〜20万円が43%でもっとも多く、10万〜30万円に59%が収まっています。10万円以上で購入した方は73%でした。

高齢だから安いもので十分、という考え方には注意が必要です。騒がしい場所での聞き取りは、加齢とともにむしろ難しくなります。静かなご自宅で過ごす時間が長い方なら普及クラスで足りますが、外出や人との会話が多い方ほど、上位クラスの機能が効いてきます。価格帯ごとの違いは補聴器の値段はいくら?をご覧ください。
健康保険は使えません。ただし制度はあります
補聴器の購入に健康保険は使えません。ここは誤解の多いところです。そのうえで、負担を軽くできる制度が3つあります。
- 障害者手帳をお持ちの場合。補装具費支給制度で、購入費の一部が支給されます
- 手帳の対象にならない場合。お住まいの自治体が独自に助成を行っていることがあります
- 医療費控除。補聴器相談医の診療情報提供書があれば、確定申告で控除の対象になる場合があります(条件と手順をくわしく)
ところが同じ調査では、補聴器を持たない難聴者のうち、国の支給制度を知っているのは10%だけでした。知らないまま検討している方がほとんどだということです。くわしくは補聴器の助成金・補助制度にまとめています。
高齢の方がつけやすいのは、どんな補聴器か
年齢そのものより、指先の細かい作業がどれくらい負担かで決まります。目安は次のとおりです。
| お困りの点 | 向いているもの |
|---|---|
| 小さな電池の交換がつらい | 充電式。毎晩ケースに置くだけで済みます |
| 耳に入れる操作がしづらい | 耳かけ型。耳あな型より持つ部分が大きく、扱いやすくなります |
| 場面ごとの切り替えが覚えられない | 自動で場面を判別して切り替える機種 |
| 紛失が心配 | スマートフォンのアプリから位置を確認できる機種もあります |
全国の出荷台数でも耳かけ型が約64%と多数を占めています。形ごとの違いは補聴器の選び方、電池と充電の違いは電池式と充電式、自動切り替えについては自動で音量調整をご覧ください。
出典:一般社団法人日本補聴器工業会「日本国内補聴器出荷台数の推移」(2025年)。
機種の絞り込み方そのものは、補聴器のおすすめはどう選ぶ?場面・形・価格の3つで絞り込むにまとめています。
80代からでは遅いのでしょうか
年齢で線を引くものではありません。実際、補聴器をお持ちの方の56%が「もっと早く使用していればよかった」と答えています。遅すぎるかどうかより、いま困っている場面があるかどうかで判断していただくほうが実際的です。

ただし正直にお伝えしておくと、聞こえにくい状態が長く続くと、音は届いても言葉として聞き分ける力が落ちていることがあります。この場合、補聴器をつけても「音は大きくなったが、何を言っているかは分かりにくい」と感じられることがあります。
だからこそ、つける前に言葉の聞き取りを測ります。どこまで期待できるかを数字で確かめてからご提案するためです(補聴器の調整はどう評価する?)。
まず何をすればよいか
順番としては、耳鼻咽喉科の受診が先です。聞こえにくさの原因が耳あかの詰まりや中耳炎で、治療で改善することもあります。受診の目安をご覧ください。
そのうえで補聴器を検討する段階になりましたら、聴力の測定とご相談を承ります。ご本人がご一緒でなくても、ご家族の方だけでのご相談をお待ちしております。まず話を聞いてみたい、という段階でかまいません。
難聴をそのままにした場合の影響は「難聴を放っておくとどうなる?認知症・社会的孤立との関係」にまとめています。ご家族の接し方は「使い始めた家族にどう接する?まわりの人ができるサポート」にまとめています。
よくあるご質問
高齢者の補聴器はいくらくらいしますか
補聴器販売店で購入した方の価格は、片耳1台あたり10万〜20万円が43%でもっとも多く、10万〜30万円に59%が収まっています。年齢によって価格が変わるものではなく、聴力と、どの場面で困っているかで決まります。
高齢者の補聴器は保険適用になりますか
健康保険は使えません。ただし障害者手帳をお持ちの場合の補装具費支給制度、自治体独自の助成、医療費控除という3つの制度があります。
高齢者がつけやすい補聴器はどれですか
年齢よりも、指先の細かい作業の負担で決まります。電池交換がつらい方には充電式、耳に入れる操作がしづらい方には耳かけ型、切り替えを覚えるのが負担な方には自動で場面を判別する機種が向いています。
80代から使い始めても意味はありますか
年齢で線を引くものではありません。ただし聞こえにくい状態が長いと、音は届いても言葉として聞き分ける力が落ちていることがあります。どこまで期待できるかは、言葉の聞き取りを測ってから判断します。
本人が嫌がっています。どうすればよいですか
受診しなかった理由でもっとも多いのは「特に困っていなかった」48%と「年齢によるものだから仕方ない」43%で、「恥ずかしい」は7%です。見た目を説得するより、ご本人が実際に困っている場面から話すほうが届きやすくなります。
ご家族だけでのご相談を承ります
ご本人がご一緒でなくてもかまいません。まずは何から考えればよいかのご相談からお受けします。聴力の測定とご相談は無料で、その日にお決めいただく必要はありません。



