補聴器は「治す」機器ではありません|感音難聴と補聴器でできること・できないこと

補聴器の相談をお受けする中で、「補聴器をつければ、以前のように何でもはっきり聞こえるようになりますか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、補聴器は聞こえを「補う」機器であり、失われた聞こえの機能を元通りに「治す」ものではありません。この記事では、その理由と、補聴器で実際にできること・できないことを、誠実にお伝えします。

目次

なぜ補聴器は聞こえを「元通り」にできないのか

多くの加齢性難聴や騒音性難聴は、感音難聴 というタイプにあたります。耳のしくみ で解説したとおり、感音難聴は、音を電気信号に変換する内耳の「有毛細胞」や、その情報を脳に伝える聴神経にダメージが生じている状態です。大きな音から耳を守る方法は「大きな音、対策していますか?騒音性難聴を防ぐためにできること」にまとめています。

一度ダメージを受けた有毛細胞は、現在の医療では元通りに回復させることが基本的にできません。補聴器は、この失われた部分を修復するのではなく、耳に届く音を大きくしたり、聞き取りやすく加工したりすることで、残っている聞こえの力を最大限に活かす機器です。眼鏡が視力そのものを治すわけではなく、見え方を補う道具であるのと似ています。

補聴器でできること

補聴器を使うことで、次のようなことが期待できます。

  • 小さくて聞こえにくかった音を、聞き取りやすい大きさに増幅する
  • 周囲の雑音を抑え、話し声を聞き取りやすくする(機種による)
  • 特定の方向からの音を聞き取りやすくする(機種による)
  • 会話が聞き取りやすくなることで、コミュニケーションの負担や聞き返しの回数を減らす

補聴器の具体的な機能については、別記事「補聴器はこんなことができます」の章でも詳しく紹介しています。

補聴器でできないこと

一方で、次のような点は誤解されがちなので、あらかじめ知っておいていただきたい点です。

  • 聞こえを、難聴になる前の状態に完全に戻すことはできない
  • つけてすぐに、以前と同じようにすべての言葉がクリアに聞き取れるとは限らない
  • 非常に騒がしい環境では、どんなに高性能な機種でも聞き取りにくさが残ることがある

つけ始めてから聞こえに慣れるまでには、ある程度の時間がかかります。これは、音を処理しているのが脳である こととも関係しています。

補聴器にできることとできないこと。小さな音を聞き取りやすい大きさにし、雑音を抑えて正面の声を優先し、聞き返しの回数を減らせる。一方で難聴になる前の状態に完全に戻すことはできず、非常に騒がしい環境では聞き取りにくさが残り、すべての言葉がすぐにクリアになるとは限らず、傷んだ有毛細胞を元通りにはできない
補う機器であって、治す機器ではありません

実際にどれくらいの方が満足しているのかは、補聴器の効果はどれくらい?満足度54%と、差がつく理由にまとめています。

だからこそ、フィッティングと専門家のサポートが大切

補聴器は、購入して装用すればそれで完成、という機器ではありません。一人ひとりの聞こえの状態に合わせて音を調整する「フィッティング」を行い、使いながら微調整を重ねていくことで、はじめてその方に合った聞こえに近づいていきます。

当店では、認定補聴器技能者が、購入前の相談から購入後の調整まで継続的にサポートしています。「補聴器をつければ全部解決する」という過度な期待ではなく、「今の聞こえを、できる範囲で少しでも楽にする」という現実的な視点で、一緒に取り組んでいければと考えています。

補聴器と人工内耳の違いは「補聴器と人工内耳の違い|どちらが向いているか」にまとめています。

まとめ

補聴器は、失われた聞こえを元通りに「治す」機器ではなく、残っている聞こえの力を活かして生活を楽にする「補う」機器です。できることとできないことを正しく理解したうえで検討することが、後悔のない補聴器選びにつながります。

どの機能が必要かは、人によって違います

記事でご紹介した機能が、ご自身の生活に必要かどうか。ふだんどんな場面でお困りかをうかがって、認定補聴器技能者がご提案します。

上本町・札幌を含む店舗一覧はこちら

SNSにシェア
  • URLをコピーしました!
目次