補聴器のおすすめはどう選ぶ?場面・形・価格の3つで絞り込む

「補聴器のおすすめを教えてください」というご質問を、店頭でもよくいただきます。ただ、正直なところ、どなたにもおすすめできる1機種というものはありません。聞こえにくさの程度も、いちばん困っている場面も、耳の形も、人によって違うためです。
そのかわり、絞り込む順番はあります。場面 → 形 → 価格の3つを順に決めていくと、候補は数機種まで狭まります。この記事では、その順番と、それぞれで実際に何が選ばれているのかを、公表されている統計とあわせて整理します。
1. いちばん困っている場面を、ひとつ決める
最初に決めていただきたいのは、機種ではなく場面です。「どこでいちばん困っているか」がはっきりすると、必要な機能が決まり、機種はそこから絞れます。
日本補聴器工業会が全国で実施している調査では、聞こえが重要だと感じる場面を5つ選んでもらった結果、次のようになっています。
| 場面 | 選んだ人の割合 |
|---|---|
| 電話で話すとき | 50% |
| 家族との団らん | 46% |
| 1対1の会話 | 40% |
| 他の人と一緒にテレビを見るとき | 32% |
| 多人数での会話 | 32% |
| 少人数での会話 | 31% |
| 騒音の中 | 19% |
| 仕事場 | 19% |
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。全難聴者 n=1,380、5つ選択。
もっとも多いのは電話です。意外に思われるかもしれませんが、電話は相手の顔が見えず、口の動きから補うことができないため、聞き取りの難しさが表に出やすい場面です。
場面が決まれば、効いてくる機能も決まります。
| 困っている場面 | 効いてくる機能 |
|---|---|
| 電話・スマートフォン | Bluetoothでの直接受信。通話の音声が補聴器に直接届くため、受話器を耳に当てる必要がなくなります |
| 大勢での会食・会議 | 指向性マイクと雑音抑制。話している人の声を選び取り、周囲のざわめきを抑えます |
| テレビ | Bluetoothでの直接受信、またはテレビ用の送信機。家族と音量の折り合いをつける必要がなくなります |
| 外出先・場面が次々変わる生活 | 自動での場面切り替え。静かな場所と騒がしい場所を機器側が判断して設定を変えます |
| 劇場・映画館・駅の案内 | テレコイルや放送音声の直接受信に対応した機種 |
ご高齢のご家族のために調べている方は、値段や保険、つけやすさを順番に整理した高齢の親に補聴器を考えるときもあわせてご覧ください。
2. 形を決める — 全国では3人に2人が耳かけ型
次に決めるのが形です。実際に日本で何が選ばれているかは、統計で分かります。日本補聴器工業会が公表している2025年の国内出荷台数は、次のとおりです。
| 形 | 出荷台数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 耳かけ型 | 421,934台 | 約64% |
| 耳あな型 | 225,661台 | 約34% |
| ポケット型 | 6,542台 | 約1% |
| メガネ型 | 229台 | 0.1%未満 |

出典:一般社団法人日本補聴器工業会「日本国内補聴器出荷台数の推移」(2025年、合計654,366台)。
耳かけ型が約64%で、3人に2人に近い割合です。軽度から重度まで幅広い聞こえに対応でき、耳の穴をふさぎにくく、電池や充電の扱いも比べて楽だからです。最近の耳かけ型は本体が小さく、髪に隠れてほとんど見えない形状のものが主流になっています。
耳あな型は約34%ですが、その内訳を見ると225,661台のうち172,936台、およそ4分の3がオーダーメイドです。耳型を採って一人ひとりの外耳道に合わせて作るもので、既製品より収まりがよく、目立ちにくくなります。マスクやメガネと干渉しない点も選ばれる理由です。
形ごとの向き・不向きは補聴器の選び方|耳かけ型・耳あな型・充電式の違いで、耳せんやオーダーメイドの耳型については耳栓・イヤモールドの役割でくわしく説明しています。
3. 価格を決める — 10万〜30万円に59%が収まっています
同じ調査で、補聴器販売店で購入した人の価格を集計した結果では、片耳1台あたり10万〜20万円が43%でもっとも多く、20万〜30万円が16%。10万〜30万円に59%が収まっています。10万円以上で購入した人は73%でした。
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。補聴器販売店で販売員から入手した補聴器 n=333。
「高い補聴器と安い補聴器は何が違うのか」も、よくいただくご質問です。静かな部屋で1対1で話すぶんには、価格帯による差はそれほど出ません。差が出るのは、騒がしい場所です。上位のグレードになるほど、必要な声を選び取る処理が細かくなり、場面が切り替わったときの追従も速くなります。逆に言えば、ご自宅で過ごす時間が長く、困る場面が限られている方には、上位グレードが最適とは限りません。
価格帯ごとの機能の違いは補聴器の値段はいくら?片耳およそ9万〜70万円の目安にまとめています。なお補聴器は消費税が非課税で、自治体の助成や医療費控除が使える場合もあります(補聴器の助成金・補助制度)。
「日本でいちばん売れているメーカー」は、選ぶ基準になりません
これもよくお尋ねいただくのですが、日本補聴器工業会が公表している出荷統計は形状別の集計で、メーカー別の内訳は公表されていません。ですので「日本で一番売れているメーカー」を統計で示すことはできません。
そして実務の感覚としても、メーカー間の差より、同じメーカーの中のグレード差のほうが大きいのが実情です。どのメーカーにも上位から普及クラスまで複数の価格帯があり、上位クラスのA社と普及クラスのA社では、できることがはっきり違います。「どのメーカーか」より「どのクラスか」「どの機能が要るか」で決まる部分が大きいということです。
そのうえで、各社が力を入れている方向には違いがあります。当サロンで取り扱っている7社の傾向は補聴器のメーカー一覧|世界の5グループと国内メーカー、当サロン取扱の7ブランドで、スマホ連携・雑音の中での聞き取り・防水・デザイン・価格帯といった切り口ごとに整理しています。
最後は、借りて確かめてください
ここまでで場面・形・価格が決まれば、候補は数機種です。そこから先は、カタログでは決まりません。当サロンでは全店で2週間のお試しレンタルを承っていますので、実際に普段の生活で使って確かめていただけます。
この「合わせる工程」があるかどうかは、その後の使われ方にはっきり出ます。同じ調査では、認定補聴器技能者が対応した補聴器は1日平均8.3時間使われ、まったく使っていない人は3%。一方、集音器や通販で手に入れたものは平均3.8時間で、33%がまったく使っていません。満足度も60%と46%で差がついています。
出典:JapanTrak 2025(一般社団法人日本補聴器工業会)。補聴器所有者 n=448。
安く手に入れたものが結局引き出しにしまわれてしまう、という形になりやすいのがこの分野です。補聴器と集音器の違いと、認定補聴器技能者とはもあわせてご覧ください。
片耳と両耳のどちらにするかは「補聴器は片耳と両耳、どっちがいい?満足度は両耳58%・片耳50%」にまとめています。お店を選ぶときの見どころは「補聴器専門店の選び方|後悔しないための5つのチェックポイント」にまとめています。
よくあるご質問
補聴器はどこのメーカーがいいですか
メーカーで優劣が決まるものではありません。同じメーカーの中でも上位クラスと普及クラスでできることが違うため、「どのメーカーか」より「どの場面で困っているか」「どのクラスが必要か」で決まります。各社が力を入れている方向には違いがありますので、困っている場面を決めてからメーカーを見ていくのが順番としておすすめです。
日本でいちばん売れている補聴器メーカーはどこですか
日本補聴器工業会が公表している出荷統計は形状別の集計で、メーカー別の内訳は公表されていません。そのため統計で示すことはできません。
高い補聴器と安い補聴器は何が違うのですか
静かな場所で1対1で話す場面では、差はそれほど出ません。差が出るのは騒がしい場所での聞き取りと、場面が切り替わったときの追従の速さです。上位のグレードほど、必要な声を選び取る処理が細かくなります。
メーカーの一覧はどこで見られますか
世界のブランドの多くはソノヴァ、デマント、WSオーディオロジー、GN、スターキーの5つのグループに属しています。国内メーカーを含めた全体像は補聴器のメーカー一覧にまとめています。当サロンで取り扱っていないメーカーにも触れています。
補聴器の平均的な金額はいくらですか
補聴器販売店で購入した方の価格は、片耳1台あたり10万〜20万円が43%でもっとも多く、10万〜30万円に59%が収まっています。10万円以上で購入した方は73%でした。
どの形がいちばん多く選ばれていますか
2025年の国内出荷台数では耳かけ型が約64%、耳あな型が約34%です。耳あな型のうち約4分の3はオーダーメイドです。
買う前に、試せます
実際の聞こえは、つけてみないと分かりません。全店でお試しレンタルを承っています。ご予算やご希望をうかがったうえで、合いそうな機種をご案内します。



