補聴器と人工内耳の違い|どちらが向いているか

聞こえを補う方法として、補聴器のほかに人工内耳があります。どちらも「聞こえを助ける」ものですが、仕組みも、対象となる聞こえの程度も、導入の手順もまったく違います。混同されやすいところなので整理しておきます。

目次

仕組みの違い

補聴器は、マイクで拾った音を、その方の聞こえにくい音域を中心に大きくして、耳の中へ届ける機器です。耳から鼓膜、内耳へと音が伝わる、もともとの経路をそのまま使います。手術は必要なく、つけたり外したりできます。

人工内耳は、手術で内耳に電極を入れ、聴神経を電気で直接刺激する装置です。音を大きくするのではなく、傷んだ内耳の働きを機器が肩代わりする形になります。手術を受ける医療行為であり、補聴器のように買って試すというものではありません。

補聴器と人工内耳の比較。補聴器は音を大きくして耳のもともとの経路で届け、手術は不要でつけ外しができ、軽度から高度まで幅広く対象。人工内耳は手術で電極を入れて聴神経を電気で直接刺激し、重度または補聴器で語音明瞭度が伸びない高度が対象で、判断するのは医師
補聴器と人工内耳のちがい

対象となる聞こえの程度が違います

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「成人人工内耳適応基準(2017)」では、対象を次のように定めています。

  • 重度感音難聴…平均聴力レベル(500ヘルツ、1000ヘルツ、2000ヘルツ)が90デシベル以上
  • 高度感音難聴…平均聴力レベルが70デシベル以上90デシベル未満で、かつ補聴器を装用した状態での最高語音明瞭度が50パーセント以下

後者に注目してください。補聴器を使ってみて、それでも言葉の聞き取りが伸びないという条件が入っています。つまり人工内耳は、補聴器の代わりに最初から選ぶものではなく、補聴器で十分に補えない場合に検討される選択肢だということです。

語音明瞭度というのは、言葉をどれだけ正しく聞き分けられるかを調べる検査の結果です。音が聞こえることと、言葉がわかることは別だという話は補聴器の調整はどう評価する?でも触れています。

判断するのは医師です

人工内耳の適応にあたるかどうかを判断するのは医師であり、手術を行う医療機関です。当店は補聴器の専門店ですので、適応の判断はいたしかねます。

ただ、上の基準にあるとおり、補聴器できちんと調整したうえでどこまで聞き取れるかは、判断材料の一つになります。その測定と調整は私どもの領域です。かかりつけの耳鼻咽喉科と行き来しながら進めていただくのが現実的な形です。

どちらが優れている、という話ではありません

人工内耳のほうが新しく高性能、という受け取られ方をすることがありますが、そうではありません。聞こえの程度に応じて適した方法が違うというだけです。補聴器で十分に補える方が手術を選ぶ理由はありませんし、逆に補聴器では届かない領域もあります。

補聴器に何ができて何ができないのかは、補聴器は「治す」機器ではありませんにまとめています。

補聴器全体の仕組みは「補聴器の仕組みをわかりやすく|マイク・アンプ・レシーバーの役割」でご説明しています。

まとめ

補聴器は音を大きくして届ける機器、人工内耳は手術で聴神経を直接刺激する装置です。人工内耳には学会が定めた適応基準があり、補聴器を使っても言葉の聞き取りが伸びない場合が対象に含まれます。

まずは補聴器で、きちんと調整したうえでどこまで聞こえるかを確かめる。その結果を持って医師にご相談いただくのが順序です。当店では聴力の測定と、調整後の聞こえの確認を承っています。

どの機能が必要かは、人によって違います

記事でご紹介した機能が、ご自身の生活に必要かどうか。ふだんどんな場面でお困りかをうかがって、認定補聴器技能者がご提案します。

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